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確定拠出年金(iDeCo)のメリット・デメリットは加入する前に学ぼう

 2017/05/14 老後のことを学ぶ
この記事は約 7 分で読めます。 5,535 Views

確定拠出年金についておさらい

俗に言う、1階「国民年金」、2階「厚生年金・共済年金」、3階「私的年金」

この中で確定拠出年金は3階の私的年金部分に当たります。

愛称はiDeCo。このiDeCoという愛称もよく見るようになりましたね。

ここでは確定拠出年金(iDeCo)のメリット・デメリットをまとめてみました。

メリット

掛け金が全額所得控除される

確定拠出年金の掛け金として支払った金額は全額が所得税・住民税の計算から省かれる控除の対象となります。
これによって所得税・住民税が安くなるメリットがあります。
自営業の方なら確定申告後の納税金額が下がり、サラリーマンである給与所得者なら年末調整での還付が受けられます。
※全額が所得控除と言っても所得税・住民税の税額以上は控除されない

運用益に対して非課税

通常の金融商品・投資商品は年一回20%の税金がかかります。ですが、この20%の税金が確定拠出年金の運用益にはかかりません。
投資信託の分配金や、みなさんは意識していないかもしれませんが普通預金・定期預金の金利にもこの税金は課せられています。
この運用益に非課税という部分は複利効果との相乗効果で運用資産を倍増させます

年金受け取り時の税制優遇される

積み立てたお金を一括で受け取るなら退職所得控除に含まれる
一括で受け取るのなら退職所得控除として計算されるのですが、退職所得控除額の計算で勤続年数の部分は、確定拠出年金では加入年数で計算し退職所得控除と同じで加入年数が長いほど控除の金額は多くなります。確定拠出年金とは別に退職金が支給される場合は退職金と合算されるので受取時期をずらすことでさらに節税することが可能です。

分割で受け取るのなら公的年金等の控除に含まれる

分割で受け取る場合でも公的年金等控除に含まれるので税金を圧縮することはできるのですが、公的年金(国民年金・厚生年金等)と合算されるので一般的には一時受取のほうが税金を圧縮できると言われています。(ケースバイケースですが)

自己破産しても財産が残る

万が一、自己破産ということになってしまっても確定拠出年金法32条1項においてこう書かれています。

(受給権の譲渡等の禁止等)
「第三十二条 給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。ただし、老齢給付金及び死亡一時金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押さえる場合は、この限りでない。」
老後の生活資金を差し押さえることは生きることに関わる為か、法律によって保護されることが多いようです。

その他に

  • 中小企業退職金共済法に基づく退職金(中小企業退職金共済法20条で禁止)
  • 確定給付企業年金(確定給付企業年金法34条1項本文で禁止)
  • 社会福祉施設職員等退職手当共済法に基づく退職金(同法14条本文で禁止)

など差し押さえが禁止されているものがあります。

デメリット

手数料が掛かる

初回のみですがどこの金融機関を選んでも最低2,777円の手数料がかかります。金融機関によってはそれ以上の手数料がかかる会社もあります。
そして運用期間中、毎月64円~の手数料がかかります。最低金額なのでこの手数料も金融機関によって変わります。
また運用先に投資信託を選択した場合、購入時に販売手数料。運用時に信託報酬がかかる場合があります。信託報酬は投資信託で保有している資産残高に対して、数%の割合でかかってきますので長期で見ると馬鹿にできない金額になります。投資信託を選択する場合は要注意です。

特別法人税が掛かる可能性がある

現在は凍結されていますが(2017年3月までだったのが3年延長されました)退職年金等積立金に対する法人税年率1.173%が本来なら掛かります。この特別法人税はある意味時限爆弾のようなもので、仮に廃止されないまま実行されると運用で1.173%以上の利益を出さないことには実質、積み立て損になる可能性がある大きな問題です。

60歳までは積み立てたお金は引き出せない

制度として確定拠出年金は公的な年金に位置づけられています。老後の資金作りを目的に税金の控除などの優遇措置があるので、積み立てたお金は原則として60歳までは引き出すことはできなくなっています。流動性が無いというリスクも考えて加入するべきです。

支払額より給付額が少なくなるリスクがある

確定拠出年金という字のごとく、支払う金額が確定した年金なので受け取る金額は運用成績によります。では「元本保証の商品ばかりで運用したら良いのでは?」と考えるかもしれませんが、確かに減るリスクは避けられるかもしれませんが、もしインフレが進んだ場合には金額の目減りは避けられるでしょうが、物価の上昇についていけなく結果的に資産の目減りと言う事になってしまうかもしれません。目の前の金額だけに躍らされ無い様にくれぐれも注意をしてください。

住宅ローン減税・ふるさと納税に影響する

確定拠出年金で支払った拠出金は所得税の控除対象となるのは先に書いたとおりですが、同時に所得となる金額も減ってしまうのでふるさと納税に関わる上限額も減ってしまいます。
また、住宅ローン減税も所得税からの減税となります。なので、当然ですが所得によっては減税される額が減ってしまう可能性があります。

受け取り時に所得税が発生することもある

運用がうまく行き過ぎた場合にメリットで上げた退職所得控除と公的年金等控除の各控除金額を超えた部分に対して所得税が掛かる可能性があります。
所得税が掛かるという事は健康保険税や住民税にも関わるので、納税額が思わぬ金額になる可能性があるということだけでも頭に入れておきましょう。
特に一部上場企業に務める方や、公務員の方は要注意です。

2000年より前に国民年金基金に加入していた場合はそちらが有利

2000年以前の国民年金基金の予定利率はかなり高金利だったので、確定拠出年金に拘る必要はないでしょう。この頃はまだバブル経済の残り香があったような時代でこの後にここまで経済が停滞すると思われなかった時代でした。ちなみに1990年台の国民年金基金の予定利率は5%前後の高金利でした。

運用に関して金融商品や投資手法の知識が必要になる

「年金」と名前はついていますが、れっきとした金融商品です。最低限の投資、資産運用に対しての知識が要ります。まず、確定拠出年金で運用する商品を選択しなければなりません。
かんたんに羅列すると元本確保型で「定期預金」「年金保険」「傷害保険」投資信託では「国内債券」「国内株式」「海外債権」「海外株式」「国内不動産投資信託」「海外不動産投資信託」ざっと並べただけでこれだけ種類があり、さらにアクティブ型とインデックス型の運用とそれぞれの商品の特徴を見た上で、自分の年金の運用商品を選ぶ必要があります。

手続きの手間が必要

まずは確定拠出年金に加入する前に自分の口座を開設します。その前に金融機関によって取扱商品のライナップが違うので、自分の年金を運用したい商品を選んでから申し込む必要があります。そして・・・このまま文字を羅列してもわかりにくいので箇条書きにします。

  1. 自分の年金を運用する商品を決める
  2. その商品を扱っている金融機関(運営管理機関)を調べる(手数料等もこの時点で調べましょう。金融機関(運営管理機関)によっても手数料を変わります。)
  3. 金融機関(運営管理機関)に申し込みをする
  4. 提出する書類が金融機関(運営管理機関)から送られてくるので基礎年金番号、個人情報等を記入・捺印する(会社員、サラリーマンは会社で事業主の捺印等が必要)
  5. 金融機関(運営管理機関)へ書類を返送する。

実際の手続きの順番は違いますがここでは自分の中で考える順番で表してみました

投資リスクを負う覚悟が必要

元本確保型の定期預金を選んでも将来インフレが進めば、思ったほど資産が増えないと言った局面も考えられます。
逆に投資信託等で固めても運用がうまく行かなければ元本割れの可能性は捨てきれません。

将来受け取れる年金の金額が確定しない

必要となる金額に資産が増えない場合も考慮して働き続ける覚悟も必要です。特に定年まであまり時間がない50代の会社員の方は定年後の働き方も考えておきましょう。

まとめ

老後の不安から開放されたい。所得控除の恩恵を受けたい。など、加入に前向きになって調べ始めたは良いがあまりに複雑すぎて挫折してしまう方が多いと聞きます。
めんどうで運用商品を適当に決めてしまって将来後悔しないようにしてください。
実際には加入しないという選択もあることを知っておきましょう。

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